離婚でマンションを売却するか?住み続けるか?財産分与と売却の注意点を徹底解説!
日本では離婚を選ぶ夫婦は3組に1組とまで言われているだけでなく、人生でなにが起こるか想定しにくいため、資産価値を意識してマンション購入をする方が多くなっています。
いざ離婚する時、「買ったマンションはどうしたらいいの?」と考えますが、結論としては売るか売らないのかの二択しかありません。
どちらか一方が学校区の兼ね合い等で生活環境を変えたくないので住み続けたい、売却したいが売っても残債が残ってしまうのでどうしたらいいのかでわからないと悩むケースがあります。
しかし、一方が住み続ける場合には、財産分与や離婚後の住宅ローンの支払いで揉める可能性が高くなります。また売却してすっきりしたい場合、住宅ローン残債を消せる金額で売れるかどうかがポイントになります。離婚でマンションを売却するか?住み続けるか?ベストな選択肢をみつけるための基礎知識を解説していきます。
離婚時のマンションを売却がいいのか?住み続けるのか?財産分与はどうなる?
マンションを売るにしても売らないにしても、離婚する夫婦が悩むポイントが「財産分与」です。
財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を、離婚時に夫婦それぞれ分け合うことをいいます。マンションなどの不動産も財産分与の対象に含まれるため、夫婦でどのように分けるのか決める必要があります。
財産分与の割合は、原則的に1/2ずつとなります。妻が専業主婦で、夫の収入のみで生活をしていた夫婦でも、この原則は変わらず同じです。
離婚に伴ってマンションを売って現金化すれば、手持ち資金があればきれいに財産分与でき縁を切ることができます。しかし、マンションを売らないとすれば、財産分与は複雑になりややこしくなります。
ただし、マンションを売る場合においても、住宅ローン残高より売れる金額が高くなり、残債を消せるか消せないかで、大きく売却方法が変わります。売却するマンションが「アンダーローン」=残債を消せる、「オーバーローン」=残債が消せないの場合の財産分与方法について解説します。
マンションを売らない場合の財産分与のポイント
まずは、マンションを売らない場合の財産分与方法です。
マンションを売らずに離婚後も残す場合は、マンションの評価額が財産分与の対象となります。ただし、住宅ローン残債があるマンションは、評価額から住宅ローン財産を差し引いたプラスの部分のみ財産分与の対象です。
たとえば、マンションの評価額が5,000万円、住宅ローン残債が3,000万円のマンションの場合、2000万円のプラスの資産とみなされ、1000万円ずつ財産分与すればいいことになります。
一方で、評価額が5,000万円で、住宅ローンが6000万円のマンションは、マイナスの資産とみなされ、原則的に財産分与の対象することができません。
しかし、財産分与の対象はマンションだけではありません。たとえば、現金預貯金が1,000万円あるとすれば、マンションのマイナス分と相殺して平等に財産分与することもできます。
一見すると、マンションを売らなくても大きなトラブルには発展しないように考えてしまいます。しかし、夫婦間で揉める可能性があるのが、マンションの評価額の出し方です。
「評価額」の算出方法は1つではなく、複数の方法があり価格がブレるため、もめる可能性があります。
・不動産会社による査定額(=実勢価格)
・固定資産税評価額
・路線価
実勢価格で評価をするにしても、仲介会社によって査定額にブレが必ずあります。そのため揉めるポイントになります。また、固定資産税評価額・路線価は、ざっくりと、実勢価格の7割前後くらいになるのが相場です。
マンションを、少しでも安く評価してもらって財産分与の現金を増やしたい思惑もあれば、逆にマンシマンションの評価額を高くして財産分与の現金を増やしたいという思惑もあります。
以上のようにマンションを残す場合、まず評価方法で揉める可能性が高くなります。
関連記事:不動産の契約は「夫婦共有名義」と「主人単独名義」どっちがいい?選び方の注意点について徹底解説
売却する場合、ローンの残債を消せるか消せないかで売却方法が違う
売却してローンの残債が消せるか残るかの2パターンになります。
- 売却後に残債が残らない=アンダーローンのパターン
- 売却後残債が残る=オーバーローンのパターン
パターン1.売却後に残債が残らないアンダーローン 財産分与はどうなる?
売却額が残債より高ければ、売却でローンを完済することができます。
このような状況をアンダーローンといいます。
つまり、アンダーローンとは、所有しているマンションの相場がローンの残高を上回っている状態のことを言います。アンダーローンであれば、財産分与が簡単になります。マンションを売却したあとに残ったお金つまり、その利益を財産分与として折半することが可能となります。
たとえば、住宅ローン残債が4,000万円なのに対し、5000万円で売れるというような場合です。
また、結婚前に貯めたお金で頭金を出していたりすれば、それも考慮して計算が必要にはなります。基本的にはマンションの売却で残債を消せる場合、トラブルは起こりにくいことから、売却してしまう方が多いです。
パターン2.売却後に残債が残るオーバーローン 財産分与はどうなる
売れる金額で残債を消せなければややこしいことになります。
このような状況をオーバーローンとなりますが、足りない分を残債を自己資金などで支払えるのであれば問題はありません。しかし、自己資金がなければ、通常の売却はできません。
この場合は金融機関の承諾を得たうえで任意売却をするしかありません。
たとえば、住宅ローン残債が2,500万円なのに対し、2,000万円でしか売れないようなケースです。
基本的に、マンションを売却しても足りないお金は、自己資金から捻出したり両親に借りたりするなど、差額分を補うことができなければ売却することができません。
しかし「任意売却」によるマンション売却の場合、売却後も債務が残ることになるので、収入合算して、連帯保証や連帯債務になっている場合、少々ややこしくなります。残債務の返済は住宅ローンの名義人になりますので、夫婦で住宅ローン名義となっているマンションを売却し、債務が残るとすれば、離婚後に返済義務も2人で負うことになります。
そもそも任意売却とは?競売とは
任意売却とは、支払いが苦しくなった場合やマンションを売っても残額の返済が難しい場合、金融機関の同意を得た上で第三者に不動産を通常の仲介売却する方法です。
売却しても残債を消すことができないマンションは、「売らない」選択もできますが、売れなければ、収入合算をしていて支払いが難しくなると、ややこしくなります。
住宅ローンの支払いが数ヶ月滞れば競売になります。担保にしているマンションを強制的に売却して債務を取り返そうとします。競売になってしまうと、所有者の意志とは関係なく入札が開始され、売却が決定し、最終的には強制退去を迫られ、落札価格では返済しきれない債務の一括返済を求められます。
債権者は、住宅ローンの残債を帰してもらえるかどうかが重要で売却手段にはこだわっていません。
任意売却は、競売と異なり、通常のマンション売却と同じように売ることができ、競売より高く売ることができるのがポイントです。
任意売却とは、売却しても住宅ローンが残ってしまうマンションを金融機関の同意の上売却する制度です。支払いが行き詰ったときに利用するイメージがある任意売却ですが、離婚で債務が消せないケースでも利用できます。
任意売却メリット1 競売より高く売れる
競売は、最低落札価格だけはあらかじめ決められています。最悪の場合、最低落札価格がそのまま落札金額になります。任意売却の方が競売より高く売れるケースが多いですが、絶対ではありません。
しかし任意売却の場合、相場価格に近い金額での売却できることがよくあります。売り出し金額は金融機関と相談の上決定しますが、金融機関からしてもできる限り高値で売ってもらって債務を減らしたいと考えるものの売れないことは避けなければならないため、相場価格より割安な金額で売り出すのが一般的です。
また、債務の圧縮も可能になります。つまり、住宅ローン残債の圧縮の交渉もできるということです。4000万円残債があってもそれを、3800万円に減らしてもらうことも可能です。競売の場合、交渉の余地はなく、残債を下回ったその差額は必ず返済をしなければいけません。
任意売却では、競売より高く売れるだけでなく、残債の圧縮の交渉がうまくいけば、全体としてかなり債務の圧縮が可能になります。
任意売却メリット2 残債は無理のない返済計画が立てられる
任意売却の場合、残った残債の返済方法も交渉することができます。無理のない範囲で返済計画を組むことができます。
競売より高額売却に期待できる任意売却ですが、多くの場合、売却後も債務が残ります。競売では、残債務は基本的に一括返済が迫られるため、最終的には債務整理が必要になる債務者も少なくありません。
しかし、任意売却では金融機関と相談の上、無理のない返済計画が立てられるため、売却後の負担を大幅に減らすことができます。
任意売却メリット3 引越しの時期を調整できる
競売では、落札が決まってしまうと不動産業者から強制的に立ち退きを迫られてしまいます。そのため、引越しのタイミングも自分で決めることができません。
しかし、任意売却なら売却後に引越しの時期を調整することができます。ただし、競売より遅くすることはできません。また、交渉によっては引越し代も債権者に出してもらえることもあります。
また、リースバックの売却方法と組み合わせると、売却後も住み続けることも可能になります。
【売却しないリスク1】名義人がローンを払わなくなるリスクがある
収入合算して、マンションを購入した場合、売却しなければ主たる債務者である名義人が支払わなくななる可能性があります。
収入合算した場合、主たる債務者が夫、連帯保証人が妻というパターンが多くあります。その場合、名義人のローン滞納が起こった場合、大変なことになります。
その場合突然、連帯保証人に返済の命令が来ることになります。
ローンの滞納は、名義人ではない人、ましてや離婚した夫婦ではそうそう気づくことができません。
金融機関からの返済命令が来て、競売になると一括返済を強いられることになります。
【売却しない場合のリスク2】財産分与でトラブルになりやすい
結婚後に購入したマンションは財産分与の対象になります。
財産分与は50%ずつ資産を分け合うのが一般的となりますが、マンションのままでは評価額の算出にブレがありもめることがあります。
売却して不動産を現金化すれば、財産分与は簡単になりますが、マンションを残した場合、不動産の価値に相当する半分の額を片方に現金で渡すなどややこしくなります。
離婚後にマンションを売却せず住み続ける場合の名義変更は簡単ではない
財産分与や離婚後のことを考えれば、離婚時にきれいに縁を切り資産を清算するため、マンションは売却した方がいいと考えます。しかし、どうしてもどちらか一方に住み続けたいという意向があれば、マンションを売らないという選択になります。
マンションを残す理由の多くは、妻子が住み続けるパターンが多いです。しかし、マンションの名義は主人単独、もしくは夫婦共有のケースが多いのが一般的です。
そこで住み続けるとなると、マンションの名義の変更が必要になります。しかし、名義変更はかなり難しいです。
マンションの名義変更自体はできないことはないが、残債があるとややこしい
マンションの「所有権」を変更することは自体は、難しいことではありませんが、住宅ローンの残債がある場合、簡単ではありません。保証会社が、認めないと前に進みません。
ちなみに、財産分与や慰謝料としてマンションの所有権を移行する場合には、贈与税は課税されません。ただし、新たにマンションの所有権を得る妻には、不動産取得税が課税されます。また所有権移転登記を司法書士に依頼すれば、別途、報酬を支払います。
住宅ローンの名義変更は難しい
収入合算をしていて、連帯保証や連帯債務になっている場合、どちらか一方の単独名義にしようとするケースも多いですが、簡単ではありません。「住宅ローン名義」の変更はかなりハードルが高いのが現実です。
住宅ローンの支払いは、ローンを借り入れている債務者と金融機関などの債権者との金銭消費貸借契約をしていますが、住宅ローンの名義を変更するには、債権者の承諾が必要です。
しかし、債権者は「離婚するので名義を変更します」といってすぐに認めてくれるわけではありません。マンション購入時に住宅ローン借り入れる際、仮審査、本審査を経てやって借り入れが決まったように、新たなに債権者になる人も、個人の信用情報や収入、勤務先などが厳正に審査されます。
連帯保証や連帯債務を利用していると言うことは、収入合算しないと返済負担率があわないから仕方なくしていることが多く夫と妻の共有名義のローンをどちらかの単独で返済できるだけの支払い能力があることは少ないと考えられます。そのため、住宅ローン名義を変更するのは非常に難しいといえるのです。
また、妻が連帯債務者や連帯保証人になっているケースの場合、奥様が、連帯保証から抜けたいと思ってもそう簡単なことではないということです。
夫と妻の収入合算や連帯保証によって組んだローンを、夫単独、妻単独の名義に変更するには、住宅ローンの借り換え、あるいは他の連帯保証人を擁立するなどして新規で金融機関の審査の承認を得る必要があります。
関連記事:不動産の契約は「夫婦共有名義」と「主人単独名義」どっちがいい?選び方の注意点について徹底解説
夫名義のマンションに妻子が住み続けるときの問題点
実は、所有権や住宅ローン名義が夫のままでも、妻子がマンションに住み続けることは可能です。ただその場合には、夫の住宅ローン返済が滞るリスクを認識しておかなければならりません。
住宅ローン返済が一定期間滞れば、競売手続きが開始してしまいます。競売手続きが開始してしまえば、夫は、住宅ローンを月々分割して返済していく権利を失い、一括返済を求められます。夫がこれに応じなければ、マンションに住む妻子は最終的に強制退去を迫られてしまうのです。
離婚でマンションを売却できるのか?残債を消せるのか?まずすべきは相場の確認!
離婚に際し、マンション売却で悩む場合は、まず資産価値つまり現時点での売れる金額を正確に把握することが大切です。併せて、住宅ローン残高証明書などで住宅ローン残債も確認して残債より高く売れるのか低くなるのかを確認しないといけません。この時、売却にかかる費用も考えないといけません。
「いくらで売れるか?」「いくらローンが残っているか?」が分かれば、オーバーローンなのか、アンダーローンなのか判断できます。状況がわかれば、売る・売らないの意思決定がしやすくなるはずです。
とくに共有名義のマンションは、勝手にマンションを売却することは出来ず、共有者の同意が必要です。資産価値の把握をしていないと方向性が定まりません。
マンションの資産価値は、立地や環境、部屋の大きさなどさまざまな条件で大きく変わりますが、マンションの場合、スペックが決まれば、机上の査定でも精度の高い金額の算出が可能になります。
離婚でマンションを売却するときにかかる諸費用と税金
マンションを売却するときにかかる諸費用と税金について解説していきます。
印紙税
印紙税法で定められた印紙税が課税されます。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円を超え50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え100万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
100万円を超え500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
令和6年3月31日までの間に作成される売買契約では、上記の軽減税率が適用となります。
売主・買主それぞれが保有する契約書分を各自負担して印紙を貼るのが通例です。
登記関係費用(=抵当権抹消費用)
売却するマンションのローンを完済して売却をする場合、マンションの抵当権を抹消しなければなりません。
通常、司法書士に委託しますが、登録免許税と司法書士の報酬が必要になります。
抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産1物件につき1,000円。マンションの場合は、建物の部分とマンションが建っている敷地の部分を別々にカウントし、2,000円の登録免許税が必要です。また、司法書士の報酬は、2万円前後が相場です。住所変更登記をしてから所有権移転登記を行う場合、プラスの費用が発生します。
譲渡所得税
譲渡所得税とは、マンションの売却により生じた所得に対してかかる税金のことです。譲渡所得の計算式
譲渡所得=
売却価格-(購入価格+購入時の諸経費+売却時の諸経費)-特別控除譲渡所得税の計算式
譲渡所得税=譲渡所得×税率
譲渡所得税の税率は、所有期間が5年以下か、5年を超えるかで異なります。
所有期間 | 区分 | 税率 |
---|---|---|
5年以下 | 短期譲渡所得 | 39.63% |
5年超 | 長期譲渡所得 | 20.315% |
マンションを売却して所得が出た際には確定申告が必要となります。
仲介手数料
マンション売却にあたって一番高額な出費が、仲介手数料です。
契約金額 | 報酬額 |
---|---|
200万円以下の金額 | 100分の5.5 |
200万円を超え400万円以下 | 100分の4.4 |
400万円を超える金額 | 100分の3.3 |
400万円を超える場合によく使われる速算法は、速算法
物件価格×3%+6万円(税別)
という算式です。
引っ越し費用等
マンションを売却して引っ越す場合に引っ越しが費用が当然、掛かります。
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